脱獄…
2016年2月4日
おはようございます中島です。
今回はヒラタキクイムシの種類と生態についてです。
先日とあるマンションにヒラタキクイムシの調査に行って来ました。
ヒラタキクイムシとはなんぞや?となりますが、主に家屋でのフローリングや壁の合板などの乾燥材を食害して問題となる害虫です。
一方一般的に耳にするキクイムシとは、樹木を食害する害虫で、キクイムシとヒラタキクイムシは種類の異なる昆虫なんです。
ヒラタキクイムシの場合は、一般的には1年に1回、梅雨前後に成虫が確認される事が多いのですが、近年では、室内の暖房や高気密高断熱化などの住宅が増え、2月頃~11月頃まで確認されるため、季節で特定することも難しくなってきています。
ヒラタキクイムシは成虫の雄雌が交尾し、木の中に産卵しますが、産卵する際は、産卵管を木材の導管に挿入して産卵するために、被害は導管を有する広葉樹で多くなっています。
導管を有していない針葉樹ではまず産卵できませんが、産卵管を差し込むことが可能な穴のある広葉樹系合板などでは被害が発生します。
広葉樹で被害が多いのは他にデンプンの含有量とも関係があり、デンプン含有量の少ない心材よりも、デンプン含有量の多い辺材で被害が大きくなる傾向が強く、合板についてもデンプン含有量の多い広葉樹系合板で被害が発生し、針葉樹系合板などのデンプン量の少ない合板で被害が起こることは希です。
1匹の産卵数は一般的に100卵程度と言われていますが、200卵以上の産卵があった例もあるようです。
産卵を終えた雌は1ヶ月前後で死んでしまいます。
卵は産卵後、10~14日前後で幼虫に孵化し、導管の中を食害し木材繊維方向に坑道をつくりますが、100卵全てが成虫になる訳でもなく、栄養不足で木材中で死亡する場合も多く、被害材内部ではよく死骸が確認されています。
幼虫は、その生育期間中に木屑や虫糞を外部へ排出することなく、内部に詰める行動をとり潜んでいます。そして冬になると、成熟幼虫は木材表面近くまで移動して、摂食活動を停止して越冬しますが、暖房化された室内では活動を続けます。
翌春、幼虫は孔道内に蛹室をつくり、8~21日間の蛹期間の後に羽化し、羽化後は木材繊維方向と垂直(木材表面方向)に坑道をつくり、木材表面にまで到達して孔を開けます。
この際に細かい木粉(虫糞:フラス)を木材から排出することで、やっと被害に気付くことが多いんのです。
何と忍耐強いと言うか、まるで映画の脱獄ものか忍者のようですね。
次回は被害と発生原因についてお伝えします。
ではまた次回お会いしましょう。